Access Accepted第667回:PlayStation 5とXbox Series Xが登場した欧米市場の近未来

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 先週の本連載でも書いたように,PlayStation 5Xbox Series Xの発売により,欧米ゲーム市場は,「第9世代」と呼ばれる新しい時代に突入した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で,今までとはまったく違う雰囲気のローンチになり,長らく欧米ゲーム業界を間近で見てきた筆者も複雑な心境の船出だが,今後の欧米ゲーム市場の方向性を,アナリスト達はどう見ているのだろうか?

いつもとは雰囲気が違う
次世代コンシューマ機のローンチ

 2020年11月10日にMicrosoftのXbox Series Xが,そして11月12日にはソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)のPlayStation 5が発売され,欧米ゲーム業界は「第9世代」とも呼ばれる新たな時代に突入した。ラッキーな人なら,すでに送られてきたハードウェアを起動させて,リアルタイムレイトレーシングや高速なロードが生みだす新たなゲーム体験を満喫しているだろう。

PS5の発売に合わせてライトアップされたソニー・インタラクティブエンタテインメントの北米本社
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 この1週間ほどを振り返ってみると,深刻な新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受けた2020年のローンチは,いろいろな点でこれまでとは様相の異なるものになったようだ。
 アメリカでは,大型量販店のTargetやゲーム販売チェーンのGameStopなどでは,限定的にせよ店頭販売を行うと発表していたものの,混乱を避けるためか予約購入者の店頭受け取り分だけに限定したようで,これまでのようにファンが店頭で長い行列を作ったり,受け取った人が興奮したりする様子がニュースで伝えられることはなかった。

 真偽は不明ながら,Targetの従業員であるという人物がRedditに写真を添えて投稿しており,書き込みによれば,彼が働く店舗には10月中にXbox Series Xがすでに入荷し,内訳はXbox Series Xが10台,Xbox Series Sが8台だったという(すべて,予約購入者向けだったようだ)。ひと世代前の話,日本に先駆けてPlayStation 4が北米で販売された2013年11月,アメリカ在住の筆者は息子と共に家電量販店Best Buyの店頭に並んだのだが,店舗内には少なくとも100台以上のPS4が積み上げられていたことを記憶している。
 当時に比べて現在はオンライン販売の比重が大きくなったとはいえ,もしCOVID-19の影響がなければ,SIE,Microsoft共に,ファンのお祭りムードを盛り上げるためのさまざまなイベントを開催していたはずだ。

 次世代コンシューマ機の供給量については,今年の4月に北米メディアのBloombergが取り上げている。記事によれば,SIEはPS5の発売後,半年の間に約600万台の出荷を見込んでいるという。この数字はPS4の750万台よりも少ないが,COVID-19の影響は限定的であり,それよりもCPUやSSDといった最新の部材の安定した生産と供給に時間がかかるということらしい。

MicrosoftのXbox部門を率いるフィル・スペンサー氏は,「ローンチ後の24時間で,Xbox Series Xは最も多くの国で最も多く売れたハードになった」とツイートしている。オンライン販売が主体になった今,市場の雰囲気は掴みづらくなったが,良いスタートを切っているようだ(関連記事
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 リサーチ会社Niko Partnersのシニアアナリストであるダニエル・アーマッド(Daniel Ahmad)氏は個人のTwitterアカウントで中国の関係者などから得た情報を公開しているが,アーマッド氏は,「SIEはデルタ航空と提携して約60機のボーイング747を確保。それを使ってPS5を各地に輸送し,需要に対応する。これは海上輸送に比べて速いが,金のかかるやり方だ」と書き込んでいる。
 したがって,11月27日のブラックフライデー(北米のショッピングシーズンで,最も多くの売上が見込める日。11月の第4木曜日の翌日)と,そこからクリスマスまでの期間には,さらに多くのPS5が出回ると予想できる。こうした状況はMicrosoftも同じようで,GameStopは「ブラックフライデーには店頭販売ができるはずだ」としている。

欧米アナリストによる,PS5とXbox Series Xの短観

 「第8世代」のPS4は世界累計で1億1135万台が販売されており(2020年9月時点),SIEは今後しばらく,こうした厚い層を形作るPS4ユーザーに対してPS5を強くアピールしていくはずだ。MicrosoftはXbox Oneの販売台数を発表していないが,メディアは4600万台〜5200万台と推定しており,それが正しいとすれば,後発ながらきわめて好調なNintendo Switchの6300万台(2020年9月時点)にも台数で抜かれていることになる。Microsoftは世代交代をできる限り早く進めたいと考えているのではないだろうか。

 とはいえ,プラットフォーム販売の傾向は,次世代にも続いていくと予想するアナリストもいる。6月の記事にはなるが,リサーチ会社のAmpete AnalystがGamesindustry.bizに語ったところによれば,2024年末までにPS5は6600万台,Xbox Series Xは3700万台の販売に達するだろうとのこと。また,イギリスの調査会社Omdiaも,2024年末までにPS5は6400万台,Xbox Series Xは4200万台を売り上げると予想しており,予測しにくい変数として任天堂のSwitch(あるいは,今のところ噂しかないSwitchの後継機)があるものの,次世代になってもSIEのリーダーシップに大きな変化はないだろうと見ているわけだ。

Omdiaの販売予測は,ほかのリサーチ会社と比べると比較的マイルドだが,それでも両プラットフォームの販売台数にはかなりの差がついている
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 もっともOmdiaはXbox Series Xが必ずしも劣勢だとはしておらず,むしろSIEは市場を失いかねないとまで予想している。Microsoftはクラウドゲームサービスの「Project xCloud」や,Electronic Artsの「EA Play」までをも取り込んだサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」など,新たなゲームビジネスの形を具体的に示しており,中・長期的なビジョンにおいては有利だと考えているのだ。
 どんなプラットフォームでもいいから,ワクワクさせてくれるゲームが楽しめればそれでいい,というのはゲーマーの偽らざる心境だろうから,この業界の常として,変化は急激に訪れるかもしれない。

 アナリストの未来予測はこれくらいにして,11月12日に掲載した記事でもお伝えしたように,年末から2021年にかけてリリースされる予定のPS5向けタイトルラインナップはやはり魅力的だ。以降も「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」「グランツーリスモ7」「Horizon Forbidden West」など,発売日未定ながらバラエティに富んだな作品が数多く予定されており,「God of War: Ragnarok」などの噂も聞こえてきている。

Activisionの「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー」は,次世代コンシューマ機で4K解像度/120fpsを実現するという。光の反射やテクスチャの質感に妥協はない
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 Xbox Series Xでは,2021年に延期された「Halo Infinite」に加えて,「Senua’s Saga: Hellblade II」「Psychonauts 2」「EVERWILD」がリリースを控えているほか,「Fable」「Forza Motorsport」「State of Decay 3」にも期待できそうだ。10社以上の優れたデベロッパを傘下に持つXbox Game Studiosだが,Bethesda Sofworksの買収が発表されたばかり(関連記事)。例えば,「The Elder Scrolls」「Fallout」シリーズの新作が明らかになれば,大きな話題になるだろう。
 今後,次世代コンシューマ機の流通が順調に進み,消費者に行き渡るようになれば,ゲーム市場はさらに盛り上がっていくはずだ。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

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