Access Accepted第682回:バーチャル空間で開催されたゲームイベント「IWOCon 2021」と,そこに出展されたインディーズゲームたち

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画像集#001のサムネイル/Access Accepted第682回:バーチャル空間で開催されたゲームイベント「IWOCon 2021」と,そこに出展されたインディーズゲームたち

 つい数日前まで公開されていたデジタルイベント「IWOCon 2021」は,プレイヤーが映像を見るだけのオンラインイベントではなく,無料のクライアントソフトをダウンロードし,その世界の中でコンベンションに参加できるというユニークな形のデジタルイベントだった。今後,作り込まれていくことによって毎年開催もあり得る可能性を感じたが,今回はそんなイベントで見つけた新作インディーズゲームを紹介したい。

有志が作り上げた,バーチャル世界でのゲームイベント

 #IndieWorldOrderというハッシュタグが散見され始めたのは,COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大で緊急事態宣言が欧米各地で発動されて以降,まだ多くの人が毎日のように感染者のリアルタイムデータを覗き込んでいたはずの2020年初夏のころだったと思う。
 ゲーム産業においては,各種イベントが開催中止になったためにプロモーションの関係者たちが新たな発表の場を模索し,手探りの状態でオンラインによる新作発表を試みたり,逆にリモートワークに切り替わったことによる混乱で,次々と新作ゲームの発売延期が発表されていたような時期だ。
 #IndieWorldOrderの根本となるコンセプトは「非常事態の中で,お互いを助け合う」ということ。そんな呼びかけに賛同した有志たちが,無料のデジタルコンベンション「IWOCon 2021」関連リンク)を企画し,3月26日から4月2日にかけて開催した。

 IWOCon 2021がユニークなのは,実際にUnrealEngineを使ってイベント会場を作り出し,Steam関連リンク)で無料ソフトを配信したことだ。観客はソフトをダウンロードし,自分のアバターを選んでゲーム世界を歩き回ることができる。VRには対応していないが,まさしくバーチャル空間で開催されたゲーム関連イベントといえる。
 ヤシの木が茂り,火山も存在する南国風の9つの島から構成された世界で,プレイヤーが選択できる男女10体ほどのアバターも全て海賊風。桟橋に乗り付けた大きなガレオン船からスタートし,それぞれの島に点在する新作ゲームを含む200ほどのブースを歩き回れる。
 ブースに入ると自動的に解説動画がスタートしたりナレーターが話し始めたりするし,プレイヤーは公式サイトやSteamストアページにクリック1つでアクセスすることが可能になっている。

島によってブースやアクティビティの数はマチマチだが,ブースの多い島に行くとなんとも楽し気な雰囲気だった「IWOCon 2021」
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 ゲームオーバーやレベルアップの要素はないが,ガレオン船を操縦して大砲をぶっ放したり,島中に張り巡らされたローラーコースターに乗ったり,キーボードのナンバーキーを利用して演奏できるギターがあったりと,アクティビティは用意されている。ブースやマップ中に散りばめられたコインも集めることができた。集めて何ができるのかは最後までよくわからなかったが,これがMMO化されていたり,もっと賑やかな雰囲気が演出されていれば,かなり楽しいデジタルイベントとして機能していたかも知れない。

 昨年(2020年)に,Devolver Digitalが,ロサンゼルス・コンベンションセンターを模したシミュレーター「Devolverland Expo」関連記事)を無料公開したことがあるが,そちらはパロディ的なものだった。この「IWOCon 2021」は本当にコンベンションとして実現したことに,純粋に感心する。
 200ブースのうちゲームを紹介するのに使われていたのはおよそ70ほどで,それ以外のブースはツールや周辺機器の開発メーカーやビジネスコンサルタント,声優たちが出展しており,このあたりのバラエティにはこれまでの欧米デジタルイベントにはなかったアイデンティティのようなものが感じられた。
 ブースからブースへの距離が遠過ぎて,しばらくすると走り回るのも面倒くさくなってきてしまうものの,“デジタルでの見せ方”はまだまだ発展途上なので今後に期待したいところ。さらに出展者やアクティビティが増えてくれば,“ポスト・コロナ”の時代になっても存続していけるデジタルコンベンションになれるだろう。

PCハードウェアやIT関連のイベントに参加した経験のある人ならご存じだろうが,あの“インテルブルー”のカーペットは,実際に見かけるIntelブースそのものだった
画像集#004のサムネイル/Access Accepted第682回:バーチャル空間で開催されたゲームイベント「IWOCon 2021」と,そこに出展されたインディーズゲームたち

 筆者がこのイベントが実際に開催されていると知ってアクセスしてみたのは,イベントも後半に差し掛かったあたり。タイミング的に当連載読者のようなツウなゲーマーの皆さんに,その存在をあらかじめ紹介できなかったのが悔やまれるが,せっかくなのでIWOCon 2021の島々にあるブースを渡り歩き,その中で気になった未発売タイトルを紹介しておこう。
 本稿掲載時点では,まだSteamに専用イベントページ関連リンク)も存在するので,発売済みのものを含めて出展作品をもっと知りたいという人はチェックしてみてほしい。

 また,IWOCon2021には「A Juggler’s Tale」,「Lake」,「Keylocker」,「A Space For The Unbound」などのタイトルも出展されていた。こちらは4Gamerのニュース記事で紹介しているので当該の記事を参照してほしい。


■Broken Roads
開発元: Drop Bear Bytes
発売予定日: 2021年後半
公式URLhttps://www.brokenroadsgame.com/

 クラシカルな正統派RPGを目指して開発が進められてきた「Broken Roads」は,荒廃した未来のオーストラリアで生き抜くサバイバーたちを描いたストーリーとなっている。手描き風アートというビジュアルの見下ろし型カメラ視点で,最大6人までのキャラクターを動かして旅を続け,プレイヤーの選択がゲームに大きく影響するというモラルシステムが大きな特徴だ。
 キャラクターにはクラスが存在しておらず,レベルアップで得たポイントを「Fortitude」(豪勇),「Temperance」(自制),「Wisdom」(知力)の3つのスキルツリーに割り振っていくことにより,無数のパターンのキャラクターを作成できるという仕組みになっている。バトルは「Wasteland」などでお馴染みのターン制で,どのようにクエストを遂行していくかや選んだ会話の内容などが,それぞれのキャラクターの成長にも影響していくという。

■Dream Engines: Nomad Cities
開発元: Suncrash
発売予定日: 2021年第2四半期
公式URLhttps://www.dream-engines.com/

 Steamでは日本語のサポートもある「Dream Engines: Nomad Cities」は,強大な文明を誇った種族が疫病のために滅亡し,かろうじて遊牧生活をしていた人々だけが生き残っているという世界が舞台だ。プレイヤーは十分なエネルギーを溜めれば町ごと浮遊して,他の場所に移動できるという都市を建設していくことになる。
 加工や生産を自動化して,効率良く経済力を蓄えていくのが重要だが,資源には限りがある。さらに経済活動がモンスターたちを惹きつけるため,都市の周りに防衛兵器を設置していくというタワーディフェンスの要素もある。その土地でギリギリまで資源を集め,モンスターに対処できない状況になる前に,別の場所へ飛び去ることを繰り返していくわけだ。
 飛行可能な街の中核部分の重量や,飛行するためのエネルギーの備蓄も重要で,いろいろと思考を張り巡らせながら楽しめそうだ。



 

■Figment 2: Creed Valley
開発元: Bedtime Digital Games
発売予定日: 2021年前半
公式URLhttps://www.bedtime.io/figment-creed-valley

 「Figment 2: Creed Valley」は,2017年にリリースされ,高い評価を得た前作「Figment」のゲーム性を引き継ぐリズミカルアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは,悪夢が徐々に広がっていく心の世界において,心の勇気が具現化された主人公の“ダスティ”となり,さまざまなパズルを解き明かして破壊されてしまった“モラルのコンパス”を修復し,心の平穏を取り戻すことになる。
 それぞれのボスにはテーマソングが用意されており,リズムに合わせて仕掛けてくる攻撃を回避しながら,隙を見つけて攻撃を加えていくという,戦闘そのものがパズルになっているのがユニークなところ。カラフルでコミカルな世界観も楽し気だ。
 すでに無料デモ版となる「Prologue」関連リンク)が公開されている。日本語化されることがアナウンスされているので,気になる人はプレイしてみよう。

■Mad Streets
開発元: Craftshop Arts Inc.
発売予定日: 近日中
公式URLhttp://www.craftshop-arts.com/

 「Mad Streets」は,「Gang Beasts」のようなヘンテコ物理系乱闘ゲームを,「ストリートファイター」のような格闘ゲームに近付けてみたというタイトルだ。パーティーゲームで,最大4人で遊べる。
 攻撃の方向とガチャ押しボタンが上手くマッチすれば,回し蹴りなど高度な技を繰り出して相手をノックダウンすることも可能なうえ,周囲のオブジェクトを利用したり,相手を掴んで投げ落とすといったことも可能で,何でもありな乱闘ををさまざまなマップで楽しめる。
 数人のメインキャラクターに寄せた,ストーリーを楽しむシングルプレイ向けのキャンペーンもあり,1人でプレイするのも友人を招いてガヤガヤとプレイするのも面白そう。こちらもSteamストアページ(関連リンク)で無料デモが公開されており,日本語化の予定もあるとのことだ。

■Witchery Academy
開発元: Cubenary
発売予定日: 近日中(PC / Switch)
公式URLhttps://witcheryacademy.com/

 「Witchery Academy」は,プレイヤーは見習い魔法使いの少年少女となって,学校に通いながら新しい魔力を身につけていくという,学園モノのライフシミュレーションだ。ポーションを作り出すための材料を農園で栽培したり,希少なアイテムを探して冒険に出掛けたり,独自の魔法を作り出したりといった,魔法使いとしての生活を,緩くプレイしていくというコンセプトの作品だ。
 日本産のゲームにありそうなアートワークにも興味を覚える「Witchery Academy」だが,ネコをペットにしたり,さまざまなアイテムをクラフティングしたり,釣りをしたりとバラエティに富んだゲームシステムになっている。また,学校の仲間たちと友情を深め,学園の裏に潜む悪を追求し,世界を救うというクエストも用意されている。
 現時点では日本語化の予定は公表されていないが,Nintendo Switchでの展開もあるというので,ローカライズにも期待は持てるだろう。


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。