中国でゲーム業界団体が“自主規制ガイドライン”を発表。実名認証厳守でボーイズラブも自主規制、213企業が協賛する厳しい条件 –

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中国のゲーム業界団体である中国出版工作者協会遊戯工作委員会(GPC)は9月24日、オンラインゲーム事業者の連名により、自主規制の方針を定めるガイドラインを発表した。国内外でサービス展開する大手企業が参画するこのガイドラインには、海外プラットフォーム利用による規制の迂回を禁ずる条文など、多数の規制が含まれている。中国国営通信社である中国新聞社など、複数現地メディアが報じている。

中国は近年、国をあげてゲームに対する規制強化の動きを強めている。今年2021年には政府による要請により、各オンラインゲーム事業者が実名認証や顔認証による未成年のゲームプレイ規制システムを導入している。昨今の中国においては、政府やメディアによるゲームへの風当たりが極めて強い状況があり、同国にてゲームを提供する事業者側も政府の規制要求などに従順な傾向が見られるのだ(関連記事)。

今回GPCが主導し発表したのは、「オンラインゲーム事業者によるゲーム中毒対策のための自主規制ガイドライン(网络游戏行业防沉迷自律公约)」だ。同ガイドラインの要旨によれば、この規制は中国共産党中央宣伝部など政府機関による規制要請へ準拠し、未成年のオンラインゲーム依存症を防止する目的で策定された。NetEaseやテンセントおよびSIE上海など大手ゲーム事業者を含む、213の企業および団体が連名で協賛している。

同ガイドラインは、政府からゲーム会社に通知された規制要請の内容を、改めて取りまとめた内容が中心となっている。例としては、政府機関「国家新闻出版署」のシステムと連携した実名認証や、顔認証による未成年へのオンラインゲームプレイ規制準拠を強く求めている。また、シングルプレイヤーゲームについても、購入時やダウンロード時に利用者の厳格な実名確認を実行しなければならないとのことだ。
 

 
また、コンテンツの内容についても幅広い規制が盛り込まれている。政治的に有害なものやわいせつなもの、グロテスクなホラーコンテンツなどのほか、「娘炮(女性的な男性)」や「耽美(ボーイズラブ)」までもが“悪しき文化”とされ強い規制の対象として盛り込まれている。また、中毒性を誘発する売り上げ・アクセス至上主義のゲームデザインも規制対象だ。ほかに目を引く記述としては、ゲーム事業者が海外プラットフォームの利用などにより、中国国内の規制を迂回することを禁じている。また、中国政府から発行されるライセンスなしでのゲーム運営を厳禁する旨も記述されている。

今回発表されたガイドラインからは、中国と日本におけるゲームを取り巻く環境の違いのほかにも、ある可能性が読み取れる。それは、「中国事業者の国外マーケット展開に対する規制強化」だ。中国では、中国共産党機関の審査を受け、認可されライセンスを得ることで初めてゲームを発売することが可能となる。そのため、近年では規制の厳しい国内ではなく、国外マーケットに版図を広げるゲーム事業者が増加傾向にあった(関連記事)。しかし今回のガイドライン第3条には、「規制を回避し、海外のゲームプラットフォームを通じて国内ユーザーにサービスを提供すること」が規制対象として挙げられている。つまり、今回のガイドラインの内容は、中国ゲーム事業者にとって一種の“逃げ道”であった国外マーケットでの販売にも、審査の上でライセンスの取得が必要となる可能性を示唆するものなのだ。今後のガイドラインの運用によっては、中国ゲーム事業者が政府による厳しい審査からの退路を絶たれる事態にもなりかねない。

事業者のみならず、中国のゲーマーたちへの風当たりも強まっているようだ。中国の一部ユーザーはVPNなどを用いて、他国のユーザーを装ってSteamなどの海外プラットフォームを利用していた。しかし、その頼みの綱のSteamにて、国籍が中国に戻されてしまう現象を一部ユーザーが証言している。中国国内では現在、中国版Steamがサービス中であるものの、利用できるタイトルは中国政府の審査を受けたものでありバリエーションは限定的だ(関連記事)。

多数の中国ゲーム事業者が協賛した今回のガイドラインは、近年の中国国内におけるゲーム規制の総ざらいとも見られる内容になっている。あくまでも“自主規制”を明文化したものではあるものの、欧米諸国や日本と比較するとあまりにも厳しい内容だ。強風吹きすさぶ中国ゲーム業界は、今後どのような動向を見せるのだろうか。