海外メディアが「AirPods Max」事前予想の反省会、噂は本当だったのか? | ニコニコニュース

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 今年はアップルハードウエア製品の当たり年であった。

 一連の発表会で、プロ並みと言ってもいいカメラを搭載した「iPhone 12 Pro」、驚くべき性能のApple Silicon(M1プロセッサー)を搭載したMacが登場するといった話題で持ちきりだったが、さらに12月8日には、ワイヤレスノイズキャンセリング(NC)ヘッドホンAirPods Maxが登場した。

 すでにいくつも記事が書かれているので、詳細を追うことはしないが、ここでは海外の情報を交えながら私見を述べていきたいと思う。

AirPods Studioの噂と実物との比較

 海外では、2018年の初頭には噂が先行していたこともあり、その答え合わせをするという記事が多かった。実際に答え合わせをしてみると、なかなか面白い結果であった。

 まずデザイン予測はほぼ正確だったが、これはiOSベータ版からアイコンが見つかったことに依っている。ただし独特のメッシヘッドバンドは、予測できなかったようだ。これは重量が予測よりもかなり重く(384.8g)、特殊形状となったためと考えられる。

 また名称はAirPods Studioと予想されていたが、これも外れた。しかし、後に述べる音質傾向を考えると間違いとはいえなかったかもしれない。

 さらに大きく外れたのは、価格と「U1チップ」の搭載だ。噂では350ドル(3万6000円強)近辺で、だいたいソニーやボーズの高級NCヘッドホンと同等クラスとみられていた。実際は、はるかに高額なものになった。その理由は不明だが、おそらくはアップル傘下にあるBeatsのラインナップとの競合を避けたのではないかと考えられる。

 また、そうしたライバル機はすでに大幅に値下げされているので、いまさらその市場に入らなかったのは、正解だったのかもしれない。イギリスの「What HiFi?」誌は、価格はニットメッシュのヘッドバンドや筐体の仕上げなど、中身を調べれば適正なものだと述べている。噂では350ドルと599ドルの2モデルが出るというものもあったため、より低価格のヘッドホンが出るのではないか、という次なる噂も根強く見かける。

 AirPods MaxはH1チップを左右それぞれに搭載しているが、正確な位置測定のためのU1チップ(UWBの近距離無線対応チップ)が搭載されるという予測も多数あった。しかし、これも仕様に記載がないことから非搭載になったようだ。ただし、これは搭載しているという情報もある。正確なところは発売後にiFixitなどの分解情報を待ちたいところだ。

なかなか市場投入されなかった背景に、開発への苦労が?

 海外情報では「AirPods Maxの開発は、4年ほど前から始まった」ということが、アップル元関係者のツイートから特定されている。4年前というのはAirPodsリリースされた頃なので、アップルAirPods人気に後押しされてこのヘッドホンの開発を進めたことがうかがえる。

 肝心な音質はどうか? これは二点の考慮点がある。新しいComputational Audioによる音質と、昔ながらのドライバー性能による音質だ。

 AirPods Maxでは、「Home Pod mini」に続いて、デジタル処理を通じた音質改善の試みを「Computational Audio」という言葉で紹介している。AirPods Maxは、2基のH1チップを搭載しているが、H1はプロセッサICなので二基あることで処理能力の向上が期待できる。その一要素である「アダプティブ・イコライゼーション」の説明では、イヤークッションの吸着度や密閉度に合わせて、音を調整すると説明されているが、これは先日記事に書いたクアルコムのアダプティブANCを想起させる点が興味深い。

 ドライバー性能による音質については、「原音忠実」や「正確な中音域」といった宣伝文句をアップルが使っており、コンシューマー向けの誇張感のある音ではなく、モニター的な音であることをうかがわせる。マグネットの強力さを強調している文面からは、おそらくはbeyerdynamicの「テスラテクノロジー」のように、強力な磁力をキーにしていると思われる。おそらくこうした点が、当初の名称予測が「AirPods Studio」であった一因かもしれない。

音質傾向はハイエンドにふさわしいモニター的なもの

 すでに海外ではいくつかファーストインプレッション記事が出ている。

 CNETでは、音質はハイエンドヘッドホンらしく、タイトな低域や自然な中音域が印象的で比較的広い音場だと述べており、ノイズキャンセリングも最高クラスに良いとしている。

 また、The Vergeでは、ほかのハイエンドヘッドホンと比較するのに十分以上の音質とまとめている。過去のアップル製品で、音がいいものと言えば、フィリップスと共同開発したPowerCDとか、ボーズとサブウーファーなどを共同開発した「20th Aniversary Macintosh」(スパルタカス)など、オーディオ専門の他社と共同開発した製品が多かった。今回は、アップルオリジナル高音質サウンドを期待したいところだ。

 最近では旧来の大型スピーカーを中心としたオーディオに対して、イヤホンヘッドホンによるオーディオが隆盛を極めている。海外ではこれらにデスクトップオーディオを含めた、新たなジャンルとしてPersonal Audio」という呼称が定着している。

 このようにオーディオの流れが変わったのは、アップルiPodの登場により、始まったと説明されるのが定説である。それ以前もMP3プレーヤーはたくさんあったが、iPodが「ゲームチェンジャー」としての役割を果たしたのだ。さらにその後の「iTunes Store」の登場は音楽業界さえ変えた。

 昨今のワイヤレスイヤホンの隆盛においても、iPhoneイヤホン端子をいち早く廃止したことや、AirPodsで完全ワイヤレスイヤホンの市場拡大に大きな役割を果たしている。

 私などは「有線イヤフォン」という言葉が、普通に使われていることに隔世の感がある。実のところ、AirPods以前にも「EARIN」や「Bragi The Dash」といった完全ワイヤレスイヤホンは市場にあり、DashIoT機器の先駆けでさえあったが、市場の流れを変えたのはAirPodsだった。

 こうして考えると、オーディオ分野においても、ここ15年ほどでアップルの影響力は極めて大きいものになったと言える。そのアップルが出した高額のワイヤレスヘッドホンが「なにを変えるのか」「変えないで終わるのか」「行く末に何があるのか」は、楽しみにしていきたいと考えている。

海外メディアが「AirPods Max」事前予想の反省会、噂は本当だったのか?

著者: ” — news.nicovideo.jp