ゲーミングマウス「ロジクールG PRO X SUPERLIGHT」レビュー –

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 「ロジクールG PRO X SUPERLIGHT」を触ったときに最初に思ったのは、その衝撃的な軽さではなく、「ゲーミングマウスって確か重いものだったはずだよな」という、ゲーミングマウスというプロダクトの不可思議さだった。

 とにかくゲーミングマウスは、その時代時代によって、評価軸が変わってきた。トラッキングセンサーに始まり、止めどもないDPI/IPS競争、有線/無線、左右対称/非対象。レーザーセンサーが良いとされた時代もあれば光学式しかありえないという時代もあり、今振り返れば、なぜゲーマーは、誰も使わないような高DPIを求め続け、無線を忌み嫌ったのかよくわからない。

 ゲーミングマウス熟成期を迎えた今となってはほぼすべてが笑い話だが、マーケットが立ち上がる時期とはそういうものかもしれない。本稿ではゲーミングマウスの新たな到達点となった「ロジクールG PRO X SUPERLIGHT」についてたっぷり紹介していきたい。なお、基本的な情報についてはここでは繰り返さないので、下記記事を参照頂ければと思う。

【ロジクールG PRO X SUPERLIGHT】

“重ければ重いほど良い時代”ははるか過去の話に

 冒頭の繰り返しになるが、ゲーミングマウスは“重ければ重いほど良い”という時代が確かに存在していた。すぐ思い浮かぶのがG502(2014年)である。ロジクールのGシリーズのベストセラーであり、標準重量は168g(ケーブル込み)もあった。さらにここから3.6gの重りを最大5つも取り付けることができ、186gまで重くすることができた。ちなみにワイヤレスならケーブル重量から解放されるため軽かったかと思いきや、やっぱり重かった。ロジクールの旧Gシリーズ「G700」(2010年)は単三電池込みで151gもあった。

初代G502を押し入れから引っ張り出してきたが衝撃的に重い。ケーブル自体に重みがあり、価値観の違いを感じる

 このように“ゲーミングマウスが重いのは当然”という時代、ゲーマー達は自身が無理なく動かせる範囲内で最大限に重くし、ハイセンシ(高DPI)設定で、ジワッと動かしてエイムするゲーマーが多かった。もちろん、現在は当時よりもさらに高い25,600DPIを実現しており、この超高DPIを活用している現役のハイセンシプレーヤーもいるはずだが、当時は多くのゲーマーがそうだったのだ。

 業界的な転換期となったのは2016年に「G900」が誕生したことだ。このマウスはご存じの通り、ロジクールGの名前を世界に知らしめた史上初のプログレードのワイヤレス技術「LIGHTSPEED」をはじめて搭載したゲーミングマウスで、プロの世界にワイヤレスを取り入れることに成功した画期的な1台だ。

ロジクールGのフラッグシップモデルG90xシリーズ。写真はG903

 その輝かしい成功に隠れて地味ながら凄かったのが、このG900は最高峰の性能を備えたフルスペックのゲーミングマウスでありながら、重量が107gしかなかったことだ。150gオーバーが当たり前の世界で、107gは衝撃的で、しかも無線、バッテリー駆動時間もたっぷりとまさに夢のゲーミングマウスだった。

 これ以降、ロジクールのマウスは、ほぼすべてワイヤレスとなり、それと同時に軽くなっていった。重さの象徴として挙げたG502も、G502 RGB、G502 HERO、G502 LIGHTSPEEDといった具合にリニューアルモデルを出す度に軽くなっており、“重いゲーミングマウス”自体が完全に過去のものになった。このトレンドは他社も追随し、“ゲーミングマウス≒重い”はわずか数年前の出来事だが、遠い昔の話のようだ。

 ゲーマーのプレイスタイルも、巨大サイズのマウスパッドを敷き、ローセンシ(低DPI)設定で手を大きく動かして、手で直にエイムするスタイルに変わった。こうなるとマウスは、かつてとは真逆で、“軽ければ軽いほど良い”ということになる。かくして時代が求め、生まれるべくして生まれたゲーミングマウスが「ロジクールG PRO X SUPERLIGHT」というわけだ。

とにかく信じられないぐらい軽い!

 「ロジクールG PRO X SUPERLIGHT」は、ロジクールGシリーズの中でも「G900」以来のゲームチェンジャーだ。「G900」はデザイン性、無線技術、性能と三拍子揃っていて、プログレードのマウスとして所有欲を満たしてくれたが、「ロジクールG PRO X SUPERLIGHT」は良さがさらに分かりやすい。

 「もうめちゃめちゃに軽い!」。これに尽きる。わずか61g(ホワイトは62g)。現行最軽量の「PRO ワイヤレスゲーミングマウス」(80g)を19gも更新する。

【小指で持てる軽さ】

あまりに軽すぎて小指一本で持ててしまう

 持った印象を率直に表現すると、中身がカラのモック(実物大の模型)としか思えない。実際、歴代のGシリーズは揺すると、カサカサ、カタカタと音がして、内部にモノが詰まっていることを実感させてくれるのだが、「PRO X SUPERLIGHT」はまったくの無音だ。どれだけ激しく揺すっても何も音を発しない。本当はやっぱりカラなのではないか? ロジクールの担当者にダマされたのではないか? という疑惑が拭いきれない。

【まったくの無音】

中身がカラのような軽さ

 でもPCに接続するとキチンと「PRO X SUPERLIGHT」として認識され、未だかつてないほど軽快に軽々と操作できる。凄く良い。中身カラ疑惑から一転、使って3秒で手放したくなくなるマウスだ。

【正常に認識する】

ロジクールGユーザーなら刺すだけで認識してくれる

トラッキングセンサーは、自社開発センサーの最新世代となるHERO 25Kを搭載。25,600DPIの性能を持つ

 筆者が現在使っているPROと持ち比べてみると、史上最軽量だったはずなのにすでに重く感じられるし、先ほど衝撃的な軽さと褒めちぎったG900にも確かなズッシリ感を発見してしまった。G502などは言わずもがなで、「当時の人は良くこんな重いの使ってたね……、腕とか筋肉痛になりませんでした?」と、まるで人ごとのように昔を懐かしむ気分になる。もう重い時代には絶対に戻れない……。

 軽いだけではなく滑りもいい。これが使い心地をさらに優れたものにしている。理由は自重の軽さに加えて、ソール面積の広さ。特に違うのは、前部のソールだ。現行の「PRO」は、軽量モデルということで、歴代のGシリーズと比較して、若干ソールをケチっている印象があったが、「PRO X SUPERLIGHT」ではソールがたっぷり倍以上に増量されているだけでなく、素材自体も改良されており、“史上最高のツルツル感”を実現している。

左が新型のPRO X、右が現行のPRO

PRO XはLEDがなくなり、シルバーペイントに

ホイールは色違いで同じか

背面はPRO Xはソール面積が拡大し、DPI切り替えスイッチがなくなっている

 なお、裏ぶたはGロゴが描かれた通常版と、ソール全面貼付版の2種類がある。これはデスクトップPCに繋ぎっぱなしで利用する方は、すぐソール版に切り替えていいが、筆者のようにノートPCでも使いたい、つまりモバイル派はソール版に切り替えてしまうと、レシーバーの出し入れの際にソール部に手が直接触れてしまうことになるので使い方に注意が必要となる。

 ここまで軽いと心配なのが本体の強度だが、“「PRO」と同等”としており、実際に手で力を込めてもたわんだり歪んだりすることはない。全力で投げつけたり、落とした上で踏みつけたりしない限り大丈夫そうだ。

【ソール完全状態】

ソールが張り付けられた裏ぶたも標準装備



著者: " -- game.watch.impress.co.jp "