東大卒プロゲーマーが語る「負けを糧に成長できる人」と「いつまでも伸び悩む人」をわけるたった一つの要素 | 世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0 | ダイヤモンド・オンライン

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東大卒プロゲーマーが語る「負けを糧に成長できる人」と「いつまでも伸び悩む人」をわけるたった一つの要素 | 世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0 | ダイヤモンド・オンライン

先行きが不透明なコロナ渦。変化に対応すべきなのはわかっているが、具体的にどうすればいいのか?

そんな人に読んでほしいのが、東大卒プロゲーマーときどさんの著書『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』だ。本書では、格闘ゲームの環境の変化によって、全く勝てなくなったときどさんのV字回復の軌跡を紹介。「圧倒的に変化が激しい」eスポーツの世界で戦うために必要なことを突き詰めていくと、ビジネスの世界でも応用できるエッセンスが見えてきた。

Photo: Adobe Stock

考えてもわからないから、現実に教えてもらう

 元の「ときど式」の戦い方について、いつも同じやり方で危機感はなかったのか。そう思う人もいるかもしれません。スランプに陥る前は旧態依然のやり方でも、なまじそこそこの成績を残せていたので危機感を持てませんでした。勝ち負けだけが、当時の僕にとっての現実だったわけです。

 もともと、僕は殴られないとわからないタイプで、先見の明があるとはいえません。だからこそ何でもすぐにやってみることで、現実の風に当てる。頭で考えてもわからないことを、現実に教えてもらう。そのようなやり方で物事を進めてきました。

「頭で考えるより、まずはやってみる。現実から教えてもらう」。このやり方を機能させる上で大切になるのが、現実を感じ取る「センサーの感度」です。

 勝ち負けだけが基準となると、負けない限り修正はしない。結果、いわゆる対症療法にならざるを得ません。症状が出ないからと病院にかからずに、いざ痛みを感じて検査をしたら深刻な事態になっていた……これでは手遅れです。

 特にレベルの高い環境になると対症療法では間に合いません。受け身になると対処は後手後手になります。それではeスポーツにおける速い変化についていくことは困難です。だから問題意識を持って、積極的に先手を打つ必要があるのです。

 今の僕は自分のプレイを検証するとき、表面的なミスの場面「以外」にも注意を向けるようにしています。一見正しい対処をしている場面でも「本当はもっといい方法があるのではないか」「全体を通して考えたら別のやり方があるのではないか」と積極的な視点で考える。ときには効率が悪いとされ、捨てられた選択肢を拾い直したりもします。

 対戦のポイントとは別の視点で、個別の場面を見直すこともあります。こちらが攻め込むことが正解とされている組み合わせでも、あえて受け気味(防御する側)の戦いで勝つ方法を真面目に考えてみたりします。戦い方の方向性が変われば、場面の正解も異なってくる。普段とまったく違う頭の使い方をするため、意外な発見のきっかけになるのです。

 とはいえ、正直いって即効性のある解答が出ることはほぼありません。試みのほとんどは失敗に終わります。しかし、失敗に終わるからといって、意味がないことにはなりません。いろいろな視点で考えたことがヒントになって、あるときにまったく別の形で開花することがあるからです。

他人のプレイを「自分ごと」として見る

 他人のプレイにも敏感になります。何かヒントはないかという気持ちで検証しているので、気になる動きをすればそれが誰であれチェックの対象となるのです。

 刺激を受ける相手はプロゲーマーなどの実力者に限りません。実力のある人ほどセオリーをきちんと理解しています。ですから発想そのものはよくも悪くも常識的になりがちです。それに比べると、実力的に不足している人は型にはまっていません。もちろん、間違っていることも多いのですが、応用することで化けることだってあるのです。

「気になる動き」といっても、直に役立ったり、見ただけですごいと感じるプレイのことではありません。「そこでジャンプするのか」とか、「変わった技の振り方をするんだな」といった、本当に他愛のないこと、ちょっとしたことです。

 誰もが違和感を覚えて反応するところをチェックするのは当たり前です。そこに加えて、他の人には無価値でも、自分にとっては感じるものがある動きや場面に注目する。これは対戦スタイルや使用キャラクターによってそれぞれ異なるので、他のプレイヤーと一致する必要はまったくありません。大切なのは、自分だけの見方を持っていることです。

 ときには他の人のミスが気になることもあります。そのプレイヤーのレベルからするとミスを考えにくい状況であれば、何か別の狙いがあって、そこにリソースを割いていたから出たミスなのかもしれません。相手に気になる挙動があって、それに気を取られたのかもしれません。「その場面で何を狙っていたのだろう?」「何が気になったのだろう?」と想像を巡らすのです。

 他の人が見逃す1%の違いに、いかに気づくか。その感度が高ければ高いほど、刻一刻と変わる現実の変化に適応することができるのです。

(※この記事は『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』からの抜粋です)