『ポケモンGO』をタワマン高層階で遊ぶと“動かずともタマゴが孵化される”との報告が注目集める。位置情報ゲームならではの悩み –

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『ポケモンGO』をタワマン高層階で遊ぶと“動かずともタマゴが孵化される”との報告が注目集める。位置情報ゲームならではの悩み - AUTOMATON

位置情報ゲーム『ポケモンGO』には、位置情報が撹乱されてしまう誤作動がある。プレイヤーを翻弄するこの位置情報のズレが、一部海外プレイヤーの話題になっているようだ。

『ポケモンGO』は、プレイヤーの位置情報を利用するモバイル向けARゲームだ。プレイヤーは実際に現実世界を歩き回り、点在するポケストップなどの施設への移動やポケモンへの接近・捕獲をおこなう。プレイヤーの位置の判定については、地図アプリなどにも用いられるGPS技術が使われている。そのため本来は、ゲーム内のキャラクターの動きと現実のプレイヤーの動きが連動しているのが正常な動作だ。しかし同作のプレイヤーは、ときどき「自分は立ち止まっているのにゲーム内では動いている」などの誤作動を経験したことがあるだろう。そうした誤作動は「GPS Drift(GPSドリフト)」と呼ばれ、GPSを利用した測位の仕組みによって発生する。

位置情報ゲームにおいて避けがたい誤作動であるGPSドリフト。この現象について語った投稿が、海外掲示板Redditの『ポケモンGO』コミュニティ/r/pokemongoにおいて同作プレイヤーたちの反響を呼んでいる。最近高層ビルの34階に引っ越したというscusie__氏は、突然『ポケモンGO』の測位がおかしくなったことを報告。リビングルームにいるというのに、ゲーム内のトレーナーは街中を縦横無尽に闊歩し、孵化に2キロメートルの移動が必要な2kmタマゴが約10分で孵化する有様だという。ゲーム内では約時速12キロで移動しつづけている計算になり、常にジョギングをしているのと同じような状態だ。

【UPDATE 2021/09/09 10:25】
時速計算に誤りがあったため修正。

同スレッドにはほかのユーザーからも「家にいるのにトレーナーが勝手に歩き回る」という報告があがっている。生活スペースが地下にあるというユーザーは、カウチでくつろいでいるというのに「“私は運転者ではありません”」というボタンを押すハメになっているという。GPSの測位誤差により、家にいながら時速数十キロで走り回っていることになってしまい『ポケモンGO』の移動速度制限に引っかかってしまった例だろう。

ほかにも「GPSドリフトはたしかに高層ビルで起きやすい」という声が散見される。GPSの測位誤差の大きな原因のひとつが、建物による電波の反射や妨害だ。たしかに、高層ビルの立ち並ぶような環境ではトレーナーが大暴走しやすいという説は十分考えられる。また、スレッド内では「GPSドリフトをあえて起こす」方法を共有するユーザーなども現れ始めるなど、GPSドリフトの功罪について大勢のユーザーが語り合っている。

GPSにはさまざまな仕様や測位アルゴリズムが存在するものの、基本的には複数のGPS衛星から発信された「電波発信時刻と衛星の軌道(位置)情報」を端末で受信して、端末(プレイヤー)の地球上での位置を割り出すという仕組みだ。

そして、GPSの裏側には普段利用する分にはあまり意識しない、非常に高度な仕組みがある。まず、電波を含む電磁波は光速で空間を進む。そのため、衛星から端末へ電波が届く時間差から距離を割り出すには、光速度を利用した綿密な計算が必要になる。正確な測位のためには地球の自転や、地球上の大気層が電波に与える影響なども勘案しなければならない。つまり、ふだん手元で利用している便利なGPS機能は、人類の技術を組み合わせて生まれた奇跡的な文明の利器なのだ。それゆえに、ちょっとした電波環境の変化次第で、割り出されるプレイヤーの位置情報が大きく変化してしまうというわけである。

なお、『ポケモンGO』開発元のNianticは同作でのチート目的でGPSの位置情報を偽装することを禁じている。一方で、あくまでも禁じられているのはデバイスの位置情報を改ざんする技術の利用であり、「あえて測位誤差を得る」ことが厳密に違反にあたるかは不明だ。実際に、家にいるだけでタマゴの孵化が進むと報告し喜ぶユーザーの声もある。しかしトレーナーが大暴走せずGPSの加減で「いい具合」に歩きまわってくれるかは運任せであり、自宅で速度制限にひっかかり困っているユーザーも存在する。意図的な測位障害を望むよりは、散歩などの密を避けられる屋外アクティビティをおこなうのが賢明だろう。位置情報ゲームならではの、興味深くも悩ましい現象だといえそうだ。